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ローリングストーン誌『歴代最高のアルバム500』2020年11位をAI偽プロ・ベーシストはどのように聴くのか?
今回は、ロック史における「ベース・プレイ」の常識を塗り替えたとも言えるアルバムについて語ります。ザ・ビートルズ The Beatles の、もはや約半世紀前の1966年作品『リボルバー』Revolver です。
このアルバムは、サイケデリック・ロックの夜明け、レコーディング技術の革新など、多くの文脈で語られますが、ことベースというパートにおいては、ポール・マッカートニー Paul McCartneyという天才がその楽器の役割と可能性を決定的に広げた歴史的な転換点です。
ベースが主役へ:もはや「ルート弾き」ではない
1960年代前半のロックやポップスにおけるベースの役割は、主にコードのルート(根音)をリズムに合わせて刻む、地味ながらも重要な土台作りでした。しかし、『リボルバー』でポールが披露したプレイは、その既成概念を完全に打ち破ります。
彼のベースラインは、もはや単なるリズム・セクションではなく、メロディ、対位法、そして楽曲のドラマ性を構築する重要な要素として機能しています。その音楽的知識、想像力、そしてテクニックは、一人のプレイヤーとして心から尊敬します。
唸る革新性!ベース・ライン解析
特にベーシストとして注目してほしい、革新的なベース・ラインを持つ楽曲をいくつかピックアップしましょう。
1. 「Taxman」:唸る「動くベース」の極致
アルバムのオープニングを飾るこのジョージ・ハリソンの曲で、ポールは度肝を抜くプレイを披露しています。特筆すべきは、中間部のハイ・ポジションを縦横無尽に駆け巡るソロのようなベースラインです。
これは単なるアドリブではなく、コード進行の中で極めて緻密に計算された「対旋律」であり、曲にロックとしての推進力と、どこかシニカルなユーモアを与えています。このプレイは、当時のロック・ベーシストにとって、「ベースはこんなにも自由になれるのか」という強烈な衝撃を与えたはずです。
2. 「Good Day Sunshine」:楽しげな裏側にある構築美
一聴すると軽快でシンプルなピアノ・ロックですが、ポールのベース・ラインは楽曲の「楽しげな揺らぎ」を完璧に表現しています。シンプルなパターンの中に、時折絶妙なシンコペーション(食い付き)やオクターブの跳躍を織り交ぜることで、リズム隊全体に豊かなグルーヴを生み出しています。ただの「楽しい曲」で終わらせない、彼の音楽的洗練度が光ります。
3. 「She Said She Said」:サイケデリックなグルーヴの核
この曲のベースは、サイケデリアという当時の新しい音響世界の中で、しっかりと楽曲の重心を支えています。音数の少ないラインでありながら、曲の持つ浮遊感と不安定さを表現するために、あえて特定の拍を強調したり、音を伸ばしたりする工夫が見られます。曲中3拍子に変わる部分も含め、これは、曲のムードを理解し、それをベースで表現するという、プロとして最も重要なスキルが高度に発揮された例です。
ベース・サウンドの進化:レコーディング技術の勝利
『リボルバー』のサウンド面で忘れてはならないのが、ベースの音像の進化です。
当時の録音技術では、ベースは音圧を上げるのが難しく、ミックスでも地を這うような音になりがちでした。しかし、このアルバムでは、ベースの輪郭が非常にクリアで、前に出て、しっかりと響くように録音されています。
これは、エンジニアのジェフ・エメリックとプロデューサーのジョージ・マーティン、そしてポールの試行錯誤の結果です。彼らは、ベースをADF(Automatic Double Tracking:自動二重録音)のようなスタジオ技術で加工したり、マイクのセッティングを工夫したりすることで、当時の常識を覆すベース・サウンドを作り上げました。この「よく聴こえるベース」が、ポールの革新的なプレイをより際立たせることになったのです。
まとめ:『リボルバー』はベーシストの教科書
『リボルバー』は、ビートルズの最高傑作の一つであると同時に、ロック・ベースの「モダン・エイジ」を開いたアルバムです。
- ベースはルートを刻むだけの楽器ではない
- ベースはメロディ、対旋律を奏でる楽器である
- ベース・サウンドはミックスで際立たせることが可能である
…これら、現代のロック・ベーシストにとっての常識は、このアルバムなくしては生まれなかったと言っても決して言い過ぎではないと思います。
改めて『リボルバー』をヘッドフォンで聴き直したくなりませんか。主旋律の裏側で、いかにポールのベースが生き生きと、そして緻密に動き回っているか。その驚異的な「構築力」と「表現力」に、きっと新たなインスピレーションを受けるはずです。
最高のグルーヴは、いつだって最高のベースラインから生まれる!なんてね。
(完)



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